気づき(アウェアネス)

2024.10.16

カウンセリングやセラピーにおいて
大切な事は何かと聞かれると、
私は「気づき」だと答えます。

sonomamaのセラピーでも
身体的解放の次のプロセスとして
気づきのセラピーを提供していますが、
ここに取り組むために他のアプローチがある
と言って良いほど重要なものです。

ただ一般的に気づくと聞くと
「方法や原因を知ること」だと思われる事が多いですが
それは「認知」です。

認知」と「気づき」は違います。

気づきとは、生物や動物が本来が持つ基本的な機能です。
何かを知ったから治る。というものではありません。

例えば
キリンが「長い方が便利だよね」みたいに何か考えたから、
首が伸びたわけではありませんよね。

その環境に対して身を任せていた。というだけです。

感覚器官を解放し、身を任せそのままを感じるとき
自然に発揮されるのが「気づき」の力です。

生物学ではホメオスタシス(恒常性の原理)といいます。
人の心にもこれと同じ機能があるという事です。

思考優位になると
気づきはリラクゼーションツールになってしまう。

しかし、思考優位の社会、あるいは西洋的価値観で見ると
何かになるために・・という前提が加わるので
ただ身を任せるという
気づきの機能を発揮することは非常に困難です。

東洋では、瞑想や坐禅などを通して思考を離れ
気づきの修行が行われていますが、
その世界は、不立文字と言われるように、
説明や理解を求めず、体験すること
という世界です。
人間にとってはとても修練がいる事ですね。

もしイメージがつかない方は
マインドフルネス、と言えば聞き馴染みの
ある方も多いのではないでしょうか。

マインドフルネスはまさに気づきのことです。

近年はその効果の高さが評価され
心理療法や医療にも取り入れられています。

さて、ここまでの話を聞くと
では早速瞑想に取り組もう!
と思う方がいるかもしれませんが、
もう少し待って下さい。

楽になりたい。
高次な人間になりたい。
そう言った思考的な欲で始める瞑想は
すでに瞑想ではありませんし、

最近はお金を呼び寄せる瞑想。
なんてのも見かけた事がありますので、

重要な注意点があります。

本来の気づきとは
瞑想トレーニングやスポーツヨガのように

リラクゼーションやパフォーマンスアップのための
方法論とは
別物だという事です。

インドで瞑想修業してる方や
禅寺で坐禅組んでる方はそういった事を目的にはしてません。

むしろそういった
思考的な欲、煩悩から解放されるために座っています。

いうなれば、意識状態を覚醒させていくものです。
人間本来が持つ機能を最大化し
人間を作り上げるための修行の一つと言えます。

少し脱線しますが、

こういったことを深めていくと、
私を私が見ている意識、のような
とても次元の高い意識状態になります。

私の体験で言えば

私は呼吸のワークや、座禅ようなワークを日常的に行ってきましたが
始めた当初は、忘れているような幼少期の苦しい光景が想起したり
続けていると恐ろしい映像が現れて混乱していました。
しかし
そういったプロセスを繰り返しているうちに
ベランダの風景に薄いカーテンのような光が見えている事に気づき、
説明のつかない意識や感覚があることを体験しました。

実際セラピーの場ではこういった意識になっていて
自分の身体の感覚を通して相手を感じている事も多いです。

言語が全くでない自閉症の方と
コミュニケーションをとって来た経験にも近いものを感じます。

身体心理療法の中では「身体共鳴」や「自律神経的同一化」
といった概念で同じような現象を説明しています。

話を戻します。
つまり
リラクゼーションやパフォーマンスアップのための物ではないので
ここをはき違えると違うものになってしまう。という事です。

この辺りは
気づきという言葉が、色んな意味で使われていて
本来の意味がわかりにくくなっているため整理しておく必要があります。

ゲシュタルト療法は東洋的心理療法

ここまで
本来の気づきとはどういったものかという話をしましたが
きっと意味がわからなくなる方も多いと思います。
しかし、とても分かりにくい世界に感じるのが普通ですし
現代はそれだけ意識が思考に偏っている証でもあります。

そういった理由から
実際はsonomamaでは坐禅や複雑な瞑想を進める事はあまりありません

あくまでセラピーの場ですから
日常的な生きやすさをサポートすることを目的に
ゲシュタルト療法という心理療法をベースにしたワークを行います。

ゲシュタルト療法は
西洋で生まれた心理療法ながら
東洋の思想を取り入れ、気づきの能力を重視している療法です。

京都の大徳寺で禅の体験をした、創始者のフリッツパールズも
セラピーでの気づきのことをミニサトリと表現しています。

ミニというだけあって、
一般のクライアントに取り組みやすいよう
大枠の部分がわかりやすく説明されます。

ゲシュタルトで言う気づきとは

思考
身体
五感

という、3つの気づきの事です。

▷あれこれと考えている自分に気づき
身体を感じている自分に気づき
▷五感で環境とコンタクトしている自分に気づき

それらをしている自分からの視点で意識を切り替えていく能力を高めます。

セラピーでは
意識を切り替えるサポートをしたり
座布団などで3つの気づきを見えるようにしていったり
様々な方法で気づきを体験していきます。

言葉のやり取りではわかりにくい部分を
セラピーの中で体験的に行うことが出来ます。

この気づきの能力を高まると
日常の様々な状況に振り回される事が無くなり
選択も自然に増えていく事になります。

ゲシュタルト療法を受けると人が変わる。
のような噂を聞くことがありますが

それは、今までと同じ状況の中でも、
気づきによって、苦しみを生む行動が起こらず
自分の成長に必要な行動が自然と生まれているだけです。

変わったのではなく、本来の自分に戻った、というだけです。

解放はゼロに。気づきは前進する力。

sonomamaでは身体解放のワークが特徴的に見えますが
実際はそれも気づきへのプロセス一つのだという事が
お判りいただけたでしょうか。

解放は気持ち良くスッキリとはします。
故障車が新車に戻ったような感覚です。

しかし、
実際に人生を生きていくために必要な力は、気づきの能力です。
思考、身体、五感全てに気づく能力です。

苦しさからの解放だけで終わらず、
生きるための選択肢や可能性を広げていく事も重要なことです。

決まりきったことや習慣は学習された機能であり、
それを変えるには
新しい気づきが与えられることが必要である。
何かを変えるには、別の方法や考え振る舞いの可能性がなければ、
それを変えようということすら考えられない。 フリッツパールズ

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