苦痛の受容とセラピストの存在

2025.01.24

様々な苦しさから健康な状態になるには痛みの受容が必要になります。

もう少し耳障りの良い言葉で言いたい所ですが、
情報を含め、対処療法が蔓延する世の中ですから
耳の痛い情報についても少し考えてみる事は大切です。

例えば
悩みや苦しさを生むプロセスから考えてみるとわかることも多いです。

悩みは過去の体験が固着し慢性化した状態です。

⓵苦しさを感じる場面を体験する
⓶ネガティブな感情・感覚を無意識に入れ元栓を締める。
⓷二度と感じないように思考を使い、過去、未来を解釈したり外の情報に目を向ける
⓸思考にエネルギーを使い続ける日々を過ごす
⓹現実に向き合う力が思考に奪われ、生きづらさを感じる

セラピーで対応することの多い抑圧のパターンの一つです。

この苦しさを解いていくには逆の手順が必要になります。

⓵思考(他人)にエネルギーを使う事をやめる。
⓶様々なアプローチで自分(無意識)を感じる
⓷抑えていた感情に気づく
⓸元栓をあけて表現する
⓹現実の中で実行していく

簡単に言えば

自分自身で

感じるな、気づくな、表現するな。としている事を

感じて、気づいて、表現する。に戻すプロセスです。

プロセスの中では自分の辛い体験に向かう事が多くあります。
これが痛みの受容です。

嫌な感じがしますが、
これを、心の問題だけでなく、身体的な事で考えると更にわかりやすいと思います。

アトピーの根治には脱ステロイドで健康な皮膚へ戻す必要があります。

症状を抑えるためにステロイドを使うと
表面的には綺麗ですが、
血流が悪くなりどんどん酷くなるので
薬を塗る事などが忙しくなり
そこにエネルギーを使い続ける事になります。

いずれ本気で治す決意をした時には、脱ステロイドし、その時に本来の症状は一気に出てきます。
しかし、その苦しさの先にようやく本来の綺麗な皮膚が再生され始めます。

風邪薬でも同じことです。
風邪は免疫力以外で治すことは出来ませんが、
薬で熱を下げると症状が治まる代償として免疫力を下げてしまいます。

本当に回復させているのは、その痛みと連動して働く免疫システムです。

心にせよ身体にせよ、実際は痛みを受け入れる事で初めて治るものなのです。

本来の自己を取り戻し、健康な心で生きるには、向き合う勇気と覚悟が必要です。

そして、その想いを受け止め、見護ることがセラピーです。
悩みの尽きない方はこの経験の少なさに気づいたかもしれません。

自分の人生に介入されず、ただ受け入れ、見護ってもらった。
そんな経験を知らない方はとても多いです。

セラピーとは施術や知識を得る場だけではなく
「痛みに向き合う勇気や覚悟を一番近くで見護られる」体験をしていく場所です。

私は、スキルより、関係性の効果が最も高いものだと日々感じています。
セラピストである前に存在する、自然とクライアントの幸せや健康を願う、私自身の存在の力です。

sonomamaではここ数年、自然と沢山のクライアントを持たない形になってきました。
それは、今のクライアントの勇気や覚悟、幸せのプロセスを見護り、受け止めることに100%であるためです。

それ以外のことを諦めた時、セラピストとして生きている意味が腑に落ち、私自身の幸福感も大きくなりました。

痛みを受容する勇気と覚悟、それを受け止める存在の力。
幸せと成長の関係はたったこれだけなのかもしれません。

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